ささ和紙誕生

ささ和紙の布は、くまざさを漉き込んだ和紙を細長くカットして、撚りをかけて糸にし、布に織り上げたものです。
それは綿に劣らない洗濯性と他にない優れた機能を持ち合わせた、古くて新しい、不思議な素材の誕生でした。
ささ和紙のもと「和紙」と「笹」に息づく、昔ながらの生活の知恵を見てみましょう。

古来の生活の知恵−和紙と隈笹

【日本の生活と笹】

古来、和紙は、日本の生活のさまざまな場面で人々に親しまれてきました。
紙衣や柿渋や植物油を塗って傘、雨合羽としても用いられました。
世界の紙の中で、和紙ほど生活文化材として多彩な用途を持つ紙はないでしょう。
そのわけは、和紙が洋紙に比べて粘り強く、加工性に富んでいること。そして
独特の美しさと風合いをそなえていることにあります。

和紙は、今も書や美術工芸から包装、和傘、扇子、ランプシェードなど身のまわりに多彩に用いられています。

中でも、身近なものが障子です。
日本の住まいに欠かせない障子は、高温多湿な風土の中で、部屋の湿度を調節し、断熱効果を発揮して、外光を柔らかな光に変えてくれます。 和紙には、優れた機能性とともに、人々を快適にして、心を和ます働きもあるのです。

【暮らしを支えてきた笹】

和紙と同じように、日本の暮らしになじんできた素材が、くまざさに代表される笹です。

新潟の故郷の味・笹だんごは、あん入りのよもぎだんごを笹の葉で包んだものですが、もともとは、ちまき(笹巻き)と同様に、戦国時代の合戦時の保存食としたのが始まりといわれます。
また、くまざさに練ったあめをはさんだ笹あめも、夏目漱石の「坊ちゃん」にも登場する越後の素朴なお菓子です。
鮮度を大切にするすし屋のネタの敷物にくまざさが使われたり、くまざさにすき間なく包まれた富山名物のます寿司や笹寿司を思い起こす方もいらっしゃるでしょう。

これらはいずれも笹の防腐効果を利用したもの。先人たちが経験的に学び、伝えて育んできた暮らしの知恵です。
ささ和紙は、日本人の生活文化を支えてきた「和紙」と「笹」が融合して生まれた素材なのです。

  • くまざさの不思議